コエンザイムQ10の歴史

コエンザイムQ10の発見と流通

アメリカとイギリスで発見される

コエンザイムQ10が世界で初めて発見されたのは60年以上も前、1957年のことです。
アメリカのクレイン博士らが、牛の心臓の細胞内から発見しました。
そして、その性質から「コエンザイムQ10」と名付けました。

ところが翌年の1958年、イギリスのマートン博士らが、ラットの肝臓からコエンザイムQ10と似た成分を発見したのです。
このとき博士らは、生物に広く分布することに由来して「ユビキノン」と名付けました。

その後、アメリカとイギリスで発見された物質はどちらも同じ成分であることが判明し、研究が進められるようになったのです。

そして1972年には、心臓病患者にコエンザイムQ10の欠乏がみられることが報告され、人間の健康維持に関わる成分として注目を集めました。

健康補助食品として世界的に流通

日本でコエンザイムQ10が一般に買えるようになったのは2000年代に入ってからですが、欧米ではそれよりも早い1980年代にはコエンザイムQ10サプリメントが広く使用されていました。

コエンザイムQ10には酸化型と還元型の2種類があり、還元型のほうがスムーズに吸収されやすいことが分かっています。
しかし、1980年代当時に流通していたのは酸化型コエンザイムQ10のサプリメントでした。
当時はまだ還元型を安定的にサプリメント化する技術がなかったのです。

日本国内におけるコエンザイムQ10の歴史

世界に先駆け量産化に成功

日本はコエンザイムの歴史に深く関わっている国です。
アメリカで初めてコエンザイムQ10が発見された5年後の1962年には、日本企業である『日清ファルマ』が世界に先駆けて、コエンザイムQ10の量産化に成功しています。

そして1973年、コエンザイムQ10を心疾患の医薬品として認可したのも日本が初でした。
以降コエンザイムQ10は国内でお薬として処方されています。
現在ではお薬として処方されることは少なくなりましたが、心疾患や糖尿病などの治療薬としてコエンザイムQ10が用いられてきたのです。

食品成分として認可されブームに

欧米では1980年代からサプリメントとして流通していたコエンザイムQ10ですが、日本では2001年に食品成分として認可されました。
つまり健康食品や栄養補助食品として一般に販売しても良い成分だと認められたのです。

またコエンザイムQ10は化粧品の成分としても用いられるようになり、2005年にはコエンザイムQ10が配合されたコスメがブームになりました。

コエンザイムQ10の開発と改良

世界のシェアを握る日本

世界で利用されているコエンザイムQ10サプリメントなどの原材料は、ほとんど日本の企業によって製造されています。
ちなみに2007年時点の世界シェアは日本が100%でした。

コエンザイムQ10の原料を製造している主な国内企業は、『日清ファルマ』『カネカ』『旭化成ファーマ』『三菱ガス化学』『協和醗酵工業』の5社です。

酸化型サプリから還元型サプリへ

コエンザイムQ10については現在もさまざまな研究や開発が進められています。
近年では『カネカ』が高純度の還元型コエンザイムQ10の量産化に成功しました。これも世界初の技術です。

これにより、今まで商品化が難しかった還元型コエンザイムQ10が一般にも買い求めやすくなりました。
さらに、酸化型で効果が実感できなかった人にも効果が得られる可能性が出てきたのです。
今後の更なる技術開発にも期待が持たれています。

コエンザイムQ10の歴史についてご紹介しました。
コエンザイムQ10は人間にとって欠かせない成分でありながら吸収効率が悪く、積極的な摂取が推奨されています。
毎日の健康サポートに、コエンザイムQ10を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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